一次救命処置の主な変更点
 
全体を通しての基本的考え方
効果的な救急蘇生を行なうには、できるだけ早期から強さと十分な回数の胸骨圧迫が絶え間なく行なわれることが重要であり、強調した。
胸骨圧迫の効果を上げるために、心肺蘇生開始の判断と手順、人工呼吸の吹き込み時間、胸骨圧迫と人工呼吸の比率、AEDによる連続電器ショック回数、電器ショック後の対応などを変更した。
 
主に市民による心肺蘇生法の主な変更点
呼吸については「正常かどうか」あるいは「普段どおりの呼吸か」を10秒以内で確認する。
反応がなく、正常な呼吸がなければ(特に死戦期呼吸(あえぎ呼吸)のときは)、心肺蘇生(CPR)を開始する。
まず人工呼吸を2回行ない、ついで胸骨圧迫を開始する。
人工呼吸は約1秒かけて、胸の上がりが見える程度の吹き込みを2回試みる。
胸骨圧迫位置の目安は胸の真ん中 または乳頭を結ぶ(想像上の)線の胸骨上である。
胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は全年齢共通で30:2とする。
胸骨圧迫の回数は連続30回を目標とするが、必ずしも正確に30回である必要はない。
救助者が疲れると圧迫が不十分になるので、胸骨圧迫の役割を時々 交代することが望ましい。
救助者が人工呼吸を実施できない局面においては、胸骨圧迫だけでも実施する。
CPRは何らかの応答や目的のある仕草が現れる、または救急隊などに引き継ぐまで継続する。
 
主に市民によるAED使用法の主な変更点
AED装着のタイミングは全年齢層において「AEDが到着し次第」とする。
適応があれば電気ショックを1回行ない、観察なしで直ちに胸骨圧迫を行なう(ただし、薬事法上 AEDによる電気ショックを3回行なう使用法により承認されている機種がある)。
電気ショック後はCPRを2分間(または5サイクル)実施後に、AEDにより再度 心電図を解析する。
初回エネルギー量は二相性AEDではメーカー推奨量、単相性AEDでは200Jとする。
1歳以上8歳未満の小児の場合は、小児用パッドを用いる(ただし、現時点〔2006年7月〕で薬事法上 承認されてる機種は2種類のみである)。
小児用パッドがない場合は成人用パッドで代用する(小児用のパッドが付属していない機種にあっては、薬事法上 小児への私用は認められていないので、やむを得ない場合のみ慎重に使用する)。
 
主に市民による気道異物除去法の主な変更点
傷病者に反応がある場合は背部叩打法と腹部突き上げ法を併用する。
背部叩打法と腹部突き上げ法の回数や順序は問わず、異物が取れるか、反応がなくなるまで続ける。
乳児や妊婦では腹部突き上げ方は行なわない。背部叩打法のみとする。
成人傷病者で反応がなくなった場合には、119番通報後にCPRを開始する。
小児傷病者で反応がなくなった場合には、CPRを5サイクル(2分間)行なった後に119番通報する。
CPRで行なう気道確保の際に、口の中に異物が見えれば取り除く。盲目的指拭法は行なわない。