全身疾患をお持ちの患者さまの歯科治療
 
 歯科治療を受ける患者さま全てが医者にかかったことがないような健康な方ばかりではありません。
 特に高齢者の方は高血圧・心疾患(狭心症)・糖尿病など何らかの全身疾患をお持ちだと思います。
 全身疾患をお持ちの方が歯科治療を受ける際は治療のストレス、感染などに対する特別な配慮が治療前、治療中、治療後に必要となります。
 
[歯科治療時に注意すべき主な全身疾患]
 
高血圧症
心疾患
 虚血性心疾患 (狭心症/心筋梗塞)
 心不全
 不整脈
 心臓弁膜疾患
 先天性心疾患
脳血管障害 (脳梗塞/頭蓋内出血)
糖尿病
腎臓疾患 (人工透析を受けている)
呼吸器疾患(ぜんそく)
肝臓疾患
甲状腺疾患 (甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症)
 
●治療の流れ
【治療前】
 治療前に患者さまに問診を行ない、疾患の病態、重症度、服用薬剤 等の情報を集めます。
 必要に応じて内科主治医、専門医に連絡をします。
 集めた情報から 今から行なう歯科治療の障害となる全身疾患なのか、また 口の中の症状が全身疾患の症状に関連したものなのか、全身疾患で服用されている薬の副作用が口の中に現れたのか、などを判断します。
 症状によっては内科医の厳重な全身管理下での歯科治療が必要になる方も居ます。
 その場合は内科主治医との相談の上、「歯科・口腔外科」を併設している総合病院をご紹介することになります。
 
【治療中】
治療中は疾患の重症度に応じてモニター等を使用し、治療中のストレス(痛み、恐怖心)、感染 等に配慮して行ないます。
治療中のトラブルに備えて、ニトログリセリン錠剤などの救急用薬剤、AED、酸素ボンベ 等を備えております。
心臓弁膜疾患、糖尿病など感染に対して抵抗力が落ちている患者さまには、治療前に抗生剤を服用していただきます。
心疾患・脳血管障害をお持ちの方でバッファリン、バイアスピリン、パナルジンなどの抗血液凝固薬(血液を「サラサラ」にする薬)を服用している患者さまが抜歯などの出血が予想される処置を行なう場合、内科主治医との相談の上、治療前後で服用を中止していただくことがあります。
狭心症の方には発作に対してニトログリセリン錠剤を近くに置いていただきます。また、治療前6ヵ月前に発作が起きた患者さまには歯科治療を行なわず、痛みを抑える処置(服用など)のみとなります。
人工透析を受けている方は治療前に抗生剤を服用していただき、さらに治療日を透析日の翌日とします。
 
【治療後】
治療後も必要に応じてモニター 等を使用し安定を確認して終了となります。
出血処置を行なった場合、止血処置を行ない、十分な止血を確認して終了となります。
必要に応じて薬を服用していただきますが、呼吸器疾患(ぜんそく)をお持ちの方に対しては 歯科医院で主に出している鎮痛剤(痛み止め)は発作を起こすことがありますので、内科主治医より出されている鎮痛剤をお使いいただきます。
 
 歯科医院では、必要な機材の常備、また 歯科医師会にて講習会を行ない、歯科医師 及び スタッフの知識・技術の向上に努めております。
 また、治療前、治療中、治療後に上記のように全身状態をチェックしながら患者さまが安心して治療を受けられるよう最大限 配慮しております。
 
[治療を受ける際のアドバイス]
 
体調の良い時に来院して下さい。
治療日にはお薬手帳をお持ち下さい。
毎日のお薬は指示ある時以外は飲んできて下さい。
薬剤アレルギーがあれば、薬剤名をなるべく正確にお伝え下さい。
過去に罹ったことのある病気、現在 罹っている病名、薬の名前、さまざまなことについて問診時にお伺いいたします。
患者さまが安全に歯科治療を受けるためにも正確に正直にお話下さい。
尚、問診時に得られた情報は治療以外では使用いたしません。 
歯科医院でも薬を出すことがあります。服用時の体調の変化 等がない限りは、指示通り最後まで服用して下さい。
また、処方せんにてお出しした場合、どこの処方せん薬局でも薬を購入することができますが、普段からお薬をもらっている薬局で購入していただくことをお勧めいたします。